的確なマーケット調査で
小児科医療を順調に展開

開業までに要した期間はたった3、4ヵ月

急速な地区計画により整備が進む千葉県の主要都市、南柏。駅前には大型のショッピングモールやフードマーケットが新設され、ここ数年で駅周辺はにわかに活況を呈している。

ここJR南柏駅から徒歩１分の地にオープンしたのが、「キッズクリニック南柏」だ。院長を務めるのは、これまで、都内の大学病院の関連施設で小児医療に従事してきた舟木尚美医師。日々の診療に追われるなか開業を決意した。

「開業の意思はずっとあったのですが、毎日忙しく具体的な時期までは考えられずにいました。そんななか、父が亡くなったことが自分にとって一つの節目となり、これからは地域医療に貢献していこうと開業を決めたのです」

開業にあたってはプロの手に委ねようと、舟木医師は、一連の準備をメディットに頼むことに決めていた。すでに開業した先輩医師からの紹介ということもあり、信頼を寄せていたからだ。

こうして担当者と打ち合わせした舟木医師は、開業に向け本腰を入れて準備を始める。

「担当の方には内装の手配に始まり、スケジュールの管理、必要な備品のアドバイス、国金からの資金調達、スタッフ採用には面接まで立ち会っていただくなど、何から何までお世話になった」と舟木医師は振り返る。準備から昨秋のオープンまでに要した期間は正味3〜4ヵ月程度。どれほど開業までの作業がスムーズに運んだかが伺える。

連携強化のため担当者を介し同門の医師と顔見知りに

しかし、開業に向けて、舟木医師にも多少の不安があった。メディットから紹介された物件のある南柏は、都内で診療活動をしていた自身にとってまったくなじみのない土地。果たしてうまく周辺病院と連携体制が築けるかどうか、不安だったのだ。

「確かに、メディットの診療圏調査によると、南柏には小児科専門の先生がおらず、駅前の再開発が進むなか人口も増え、マーケットとしては申し分のない土地だと思いました。でも、顔見知りの同門の先生がいないという点で、何かあったときにお願いできるかどうか心配で...」

そもそも、舟木医師も、都内北区で診療をしていた経験上、検診に訪れる小児の数が年々減っていくことから、顔見知りの医師が多いとはいえ勤め先近辺で開業するのはマーケット的に得策ではないと考えていた。しかし、いざ連携となると、受け入れ先の医師と顔見知りかどうかで、実際上の連携のしやすさに大きく影響するという。

「そんな不安をメディットの担当者に打ち明けたところ、近隣の名戸ヶ谷病院や東京慈恵会医科大学附属柏病院で診療されている同門の先生をご紹介していただき、一緒に挨拶にも行ってくれました。お互い顔見知りになったことで、何かあったときでもお願いしやすくなり、おかげで胸のつかえがとれた」と舟木医師。

開業とほぼ並行して行われていた駅前の大型ショッピングモールもオープンを迎え、駅前は休日ともなると家族連れでにぎわいを見せるなか、05年10月、「キッズクリニック南柏」は満を持して開業の日を迎えた。

現在の平均来院数は100名前後最高で150名に上る日も

「オープン当初はちょうどインフルエンザの予防注射の時期と重なったこともあり、初日から20名以上の患者さんに来ていただきました。その後も順調に患者数は伸びていて、現在の平均患者数は100名前後、最高で150名を上回った日もあります」

小児医療のマーケットを求め、あえて都心から離れたことが功を奏した形だ。しかし、こうした順調な来院数は、恵まれた立地条件はもとより、舟木医師の人柄によるところも大きいのだろう。

「先輩から、どんなときでも親切丁寧に診るようにと言われたことが、ずっと心の中にあるんです。毎日たくさんのお母さんと接するなかで、うまくコミュニケーションをとることが難しい方もいらっしゃいますが、どんなときでも、"親切丁寧に、親切丁寧に"と頭で唱えながら向き合っています」

女医ということもあり、思春期にさしかかった子どもや、母親自身から、気軽に相談を持ちかけてもらえるのも、同性の強みだ。また、クリニックが入る同ビル内には薬局と歯科医院があり、後に耳鼻科と内科もオープンした。「お互いの患者を紹介し合えるのが、医療モールのメリット」と、舟木医師はさらなる期待を膨らませている。

最後に開業4年目を迎えた舟木医師に、改めて開業当初を振り返ってもらった。

「メディットを介したおかげで開業準備は非常にスムーズにいきました、当院に限っていうと、変にこだわらず、プロに任せるところは任せたことがうまく事が運んだ要因だと思います。開業にあたって何をすればよいか、メディットの担当の方から一からアドバイスをもらえたことは本当に助かった。今でも、公的な手続き等で分からないことがあれば気軽に相談できる関係。知り合いの先生が開業するなら是非紹介したいですね」