Case Study & Interview
医師目線と患者さん目線で
開業を細やかにフォロー
かのう内科クリニック加納 義浩 院長
場所選びのポイント
大学病院や総合病院などでの勤務医を経て、2017年11月に開業しました。
それまでに培った内視鏡の専門医としての経験を活かし、診療内容は消化器疾患、内分泌疾患を中心に掲げ、胃カメラ、大腸カメラ、甲状腺エコーや腹部エコーは毎日行っています。
また、どのような不調であれ気兼ねすることなく来院してほしいという気持ちから、高血圧、糖尿病などの生活習慣病や花粉症、骨粗しょう症といったお悩みも幅広くカバーしています。
開業するのであれば自分自身の得意分野で、育ててくれた北摂の地で恩返しがしたいという想いがありました。
この場所を選んだのは駐車場のスペースを十分に確保でき、なおかつ薬局も併設できる敷地面積の広さが決め手でした。
雨が激しく降る日は患者さんだけではなく付き添いの方にまで喜ばれ、箕面市と少し距離のあるエリアから来院される若い世代の方も多く、いくつかの候補地を見て回るなかでこの場所に巡り合えたことは非常に幸運なことだったと、つくづく感じています。
メディットとの出会い
開業に向けて実際に動き出したのは2015年頃からです。
凡そ2年の準備期間中は、各種の実務的な作業を進めながらすでに開業医としてのキャリアをスタートさせている友人の医師やコンサルタントに話を聞くなどして、自分なりに情報収集もしていました。
そのような中で人を介して出会ったのがメディットです。
担当者との打ち合わせでは、こちらが思い描いているクリニック運営の参考になる過去の事例を教えてくれたおかげで、開業後に起きうることを具体的に想定し、あらかじめ備えることができました。
負担が少しでも軽くなるよう資金繰りの面でも効果的な提案を受けることができ、特に医療機器の導入に関しては大いに助けられています。
他にも、医療そのものには直接的に関係しない細かい点まで気配りが行き届いていて、医師目線と患者さん目線の両方の視点をバランスよく持ちながら、クリニック全体のことを考えていただいているなと、日に日に安心感が増していきました。
勤務医をしながら準備を進めていたので、打ち合わせをするにも時間を確保することがなかなか難しかったのですが、こちらの予定に合わせて何度となく時間と場所の融通をきかせてくれたこともありがたかったと、よく思い出しています。
クリニックを知っていただくために
建物ができあがり設備が整う目途がついてからは、新しいクリニックとして地域の皆様に知っていただくための対策に力を入れました。
やはり今は世代を問わずインターネットで検索してこられる方が多くいらっしゃるので、HPは言わずもがな、開業のタイミングでは自己紹介を兼ねて動画を配信し、現在でも月に1回のペースでブログも公開しています。
ブログではあるひとつの疾患をテーマにすることもあれば、季節ならではの不調を取り上げることも、プライベートについて書くこともあります。
ありがたいことに、ブログを読んでくださる患者さんは思った以上に多く、その内容で会話が盛り上がって親密なコミュニケーションづくりに役立っていると、たびたび実感しています。
人の命と健康に関わる仕事をしている以上、知識、技術、経験があることは当然の前提で、それ以前に一個人としても十分に信頼を置かれる存在でい続けなければいけません。
私自身の仕事観であり、クリニック全体のモットーを言葉で表すなら「常に笑顔・明るい雰囲気を大切に、信頼感を得る」ことです。
会話ひとつをとっても思いやりの心をもって、相手に寄り添うことを常に心がけ、笑顔を絶やさず明るい雰囲気で患者さんの不安を少しでも取り除くことが医療従事者としての使命だと考えています。
共に働くスタッフたちも想いは同じです。
その想いを行動に移し患者さんに伝えるため、話し方や接し方、身だしなみといった共有しておくべき基本方針を明文化して週に1回の頻度で読み合わせを行い、どれだけ忙しくても決して初心を忘れないように皆が心がけています。
地域貢献への取り組み
あるひとつの分野を突き詰めることにこだわるのではなく、医療全般の知識を広く網羅し、どの世代の患者さんであってもその苦しみをやわらげるためにできることがあれば全力を尽くしたいというのが私の医師としての基本的な姿勢です。
開業から3年目を迎えた今では小さなお子様や小学生の患者さんも珍しくなくなり、このような姿勢が少しずつでも伝わってきているのかもしれないと、嬉しく思っています。
もちろん、自分たちの診察と治療に限界があれば他科のクリニックや規模の大きい市民病院などをご紹介します。
そのようなケースで不可欠なのは他の先生とのすみやかな連携で、さらに言えば地域とのつながりも同じく大切です。開業の準備期間から現在に至るまで地域の催しには可能な限り積極的に参加し、市民講座の講師を務めることもあれば、学校医として教育機関に出向くこともあります。
人となりを知ってもらうことで声をかけていただく機会がさらに増え、反対にこちらからのお願いや相談も聞いてもらいやすく、互いに頼り頼られながら地域に貢献できていると手ごたえを感じています。
同じエリアで医院を長く続けておられる同業の諸先輩方にも快く受け入れていただき、地域医療を支える一員を自負する気持ちはますます強くなりました。
医師会経由で市民病院の救急を年に数回担当しているのですが、クリニックを離れた場所で医療に携わることは自身の研鑽にもつながっています。
開業とはどういうことか
メディットがパートナーになってからは診療圏の現時点での人口構成と将来的な推移や、土地開発にまつわる情報など、アップデートされたものを随時受け取ることができました。
開業する以上は、医師の立場に加えて経営者である自覚を持ってビジネスの観点から物事を考える必要があります。
そういう意味では、地域にどのようなクリニックがどれだけあり、新設の予定はどの程度あるのかといった、医療業界事情に明るいメディットのデータも、経営上の戦略を組み立てるのに有意義なものばかりでした。
経営が安定する年数のおおよその目安や収支の予測といった様々な数字も、過去の実績がベースになっているので説得力があります。
マイナスな意見であっても包み隠さずこちらに投げかけ、その上で当事者の決断を最大限に尊重し、実現に向けて真摯に向き合う姿はとても印象的でした。
診療圏のリサーチ力、開業までのサポート力、そして柔軟な対応力はさすがで、感謝の一言に尽きます。
開業は苦労が少ないとは決して言えません。
成功のためにはしっかりとしたコンセプトを立て、周知のための手をどれだけ打てるかといった要素も重要でしょう。
ですが、なにもかも自分自身で決断できるという自由は、いかなる苦労にも勝ると個人的には断言したいほど、開業して本当に良かったと感じています。
これからも地道な継続と絶え間ない改善を繰り返しながら、世代を超えて安心していただける地域に根差したクリニックを目指していきます。