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Case Study & Interview

相談すれば方法が見えて
行動すれば理想に近づける

ぜんしん整形外科守重 昌彦 院長

  • 整形外科
  • リハビリテーション科
  • リウマチ科
  • スポーツ外来

クリニックの特徴

当院は、超音波診断装置(エコー)による診断・治療と、理学療法士(PT・Physical Therapist)によるリハビリテーションを両輪とするクリニックです。

常勤医師は現在院長の私だけですが非常勤で6名ほどの医師に手伝いに来てもらっています。看護師は常勤3名、パート2名、リハビリを行うPTは11名体制で、個人で始めたばかりの整形外科クリニックとしては比較的大きな規模で運営しています。また、当院の特徴の1つであるリハビリテーション室も駅近のクリニックとしてはかなり広く、通院の負担が小さい施設として、立川駅周辺や、中央線、青梅線沿線の患者さんに多く利用いただいています。

開業から1年半がたち、患者数は月4,500人程度まで増えました。リハビリの患者さんと再来院の患者さんを中心に総数がふえています。リハビリ中はPTがしっかりサポートし、その結果として患者さんの満足度も高くなります。また、診察室とリハビリ室が近く、医師とPTがすぐにコミュニケーションを取れるため、患者さんの情報を共有しながら、診療の質を高めていけるのが特徴です。

開業を決めた理由

開業を決めた理由は2つあります。
1つは、スポーツに励む中高生を支えたいと思ったことです。
そもそも私が整形外科医を目指したのは、高校の時にスポーツでケガをして、納得の行く結果が得られなかったことです。中高生のスポーツをする人たちに満足できる医療を提供したいと思いました。
そのまま迷うことなく医学部に入り、整形外科医として治療に携わるようになったのですが、一般的な病院ではスポーツをする学生や社会人の通いやすい時間に外来ができず、通院のリハビリもできません。学校帰りの中高生が通うことが難しい環境では、自分が本当にやりたかった医療ができないと思ったのです。

時間が進んだときの成長・変化が小さくなってきたと感じたことも開業を決めた理由になりました。
勤務医として経験と実績を積み、病院内で責任ある立場になってきていましたが、結局大きな変化を起こすことは簡単ではなく「1年後もきっと同じことをしているだろうな」と想像した時に、自分でどんどん変化を起こしていける道を進みたいと思いました。

開業を視野に入れつつ見学に訪れた、学生時代お世話になった先生が院長を務める神戸市内のクリニックで、理事長に「勉強がてら働いてみたら」と声をかけていただきました。
その誘いを受けて、私は2年間と期間を決めて(実際は3年いましたが)、整形外科医としての腕を磨く傍ら開業がどういうものか、クリニック経営がどのように行われているのかを学ばせてもらうことになったのです。

地元の医療・経済に貢献したい

神戸での最後の年が始まる頃に開業準備に取り掛かりました。
とはいえ、開業も経営も未経験ですので何から手をつければ良いかわかりません。
その過程を支援してくれたのは、神戸のクリニックの先生方と、そのコネクションを通じて紹介していただいたJA三井リースです。
JA三井リースは大阪拠点の方が中心となって支援してくれました。私は東京での開業を見据えておりましたが、親身になって支援し、必要な情報を提供してくれました。開業支援サービスは様々な会社が行っていますが、距離に関係なく相談でき、支援を受けられるのが規模とネットワークがある会社の良いところなのだと思いました。

神戸のクリニックの理学療法士によるリハビリテーションを重視し、医療秘書によるカルテ代行入力で医師も患者さんと向き合って診療できるスタイルは踏襲することとしました。開業を考え始めた武蔵野赤十字病院時代には病院の付近も含めて開業場所は東京の中央線沿線でと思っていましたが、一度東京を離れてしまったので地元の立川駅に絞りました。

立川は多摩地区のなかでも発展し続けている街です。近隣には学校も多く、運動系の部活やクラブに入っている生徒や学生もたくさんいます。
クリニック開業によって地域振興に役立ちたいとも思っています。立川近隣から都心の職場に通う人も多いため、クリニックを作ることによって多少なりとも地域雇用の促進につながるだろうとも考えました。

物件探しの第一条件に挙げたのは、駅から近いことです。
超高齢化が進んでいく社会では、運転免許証を返納する高齢者が増え、自家用車で移動するのが難しくなります。患者さんの通院負担をできるだけ小さくするため、駅から歩いて5分以内、遠くても10分以内の物件に絞りました。

当院がある商業施設は、まさにその条件に合う物件でした。
1フロアを丸ごと借りていたスポーツ用品店が退去し、次のテナントを探しているという情報を耳にして、飛び込みで話を聞きにいきました。
テナント契約の話はスムーズに進みました。ただ、フロア面積が330坪あり、1つのクリニックでは埋めきれません。そこで医療モールにしてはどうかと提案し、薬局に声をかけて他のクリニックを誘致することになりました。

遠隔地で開業準備を進める

場所が決まると、次は採用や内装工事などがあります。
決めるべきことを決め、依頼することを依頼し、急流に押し流されていくような状態で準備を進めていきました。これも周りのサポートなしには乗り切れなかっただろうと思います。
この時はまだ神戸のクリニックに勤務していましたので、東京で動いてくれている人たちとの連絡は電話やメールです。
初回のスタッフ採用面接も神戸と東京をSkypeでつないで行いましたが、画面越しに相手の雰囲気をつかむのは非常に難しかったです。

クリニックの内装は義理の弟に依頼しました。
義弟が一級建築士で、某大学病院など医療施設を多く手掛けていたためです。
タイミングよく物件が見つかったことも含めて、運や縁は大事だなと改めて感じます。
内装のイメージとして、医療機関っぽい印象をなくし、スポーツバーのような雰囲気にしたいという思いがありました。クリニックでは珍しい黒色の壁にしたのもそのような思いを反映したものです。4つある診察室にテーマカラーを作り、4色に塗り分ける案は義弟に提案してもらったもので、地味になりがちな院内が色彩的に豊かになりましたし、機能的な面でも、患者さんや自分たちがどこにいるか視覚的にすぐ認識できるのが特徴です。

開業してわかったこと

開業から約1年半を振り返って感じるのは、自分が望んでいた環境ができ、その達成感が非常に大きいということです。
中高生の患者さんたちは学校終わりに来てくれていますし、現在はPTによるメディカルチェックなどを通じて近隣の学校との提携も増え始めています。
勤務医のころに感じていた「変化の小ささ」という課題も解消されました。
たった1年半前と比べても、私やクリニックを取り巻く環境は大きく変わっています。JA三井リースにお世話になっている医療機器も、導入したいと思った時に自分の判断ですぐに決済し、導入できます。このスピード感は大きな病院ではなかなか実現できません。

また、当初は資金面の不安がありました。
当院は規模が大きいこともあり、資金的な余裕があったのだろうと思われることがあるのですが、実際には自己資金ゼロ、担保ゼロです。
その状態で開業に漕ぎ着けるにはどうすれば良いか考え、融資のことなどでJA三井リースによく相談に乗ってもらっていました。
しかし、実際には大きな壁にはなりませんでした。相談して解決することもありますし、過度に不安を持たず、思い切って挑戦することによって自分が作りたいクリニックが作れるものです。
資金リスクを抑えるために、最初は小さくスタートする方法もあるでしょう。私も開業当初はパートを含む少人数体制でしたし、クリニックが軌道に乗ってから広い場所に移る方法もあるだろうと思います。
そのような選択肢も含めつつ、まずは行動することが大事なのだと実感しました。行動しない限り何も変わりませんし、開業は気力と体力がいるため、若いうち、早いうちが良いとも感じました。

一方で、想定以上に足りないと感じたのは時間です。
開業前は準備作業に追われます。開業後は患者さんと向き合うとともに、勤務医時代にはなかった労務や雑務を抱えます。結果、経営について考える時間が作りづらくなってしまうのです。
これは今も私の課題です。今後は常勤の医師を増やしながら、マネジメントや経営について考える時間を作り出していきたいと思っています。

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